9.好奇心の本当の役割
自分の価値観に触れる
前のページでは、好奇心を高める活動の進め方について詳しく説明した。この活動を進める上で、重要な役割を果たすのがスリルを感じる指標だ。このページでは、スリルを感じる指標が、なぜ、これほどまでに人の好奇心を高めるのか考えてみる。
この興奮を引き起こす指標は、実はあなたの価値観そのものである。この指標は、あなたが生活の特定の部分に対し、できればこうあってほしいと思う期待のイメージと、ここまで行ったら最悪だと思う危機のイメージをそれぞれ上限および下限として揺れ動く。
そして、この指標は、あなたが新しい事実を知り、認識する世界を広げるにつれて、どんどん振れ幅を大きくしてゆく。この指標の変動があなたを興奮させるのは、その変動があなたの価値観を直接揺さぶるからだ。
好奇心を高め、興味・関心の対象を広げていけば、あなたを興奮させる指標は、いずれ元の指標以外にも生み出され、数がどんどん増えてゆく。そして、あなたは自分自信が持つ価値観を多面的に、かつ具体的に理解してゆくことなる。
さらに、指標の上限と下限は、新たな事実を発見するたびに変動し、その変動が自分自身の価値観の変化を実感させてくれる。
結局のところ、好奇心を高めることは、身の回りの未知のもの触れることで、自分がどういうことに価値を見出す人なのかを発見することであり、価値観の変化を通して自分の成長を実感することである。この発見と実感に興奮し、喜びを感じるのである。
自分が持つ価値観を発見することは、自分自身を知ることである。自分を知るには、自分の身の回りのものに自ら働きかけ、その反応を確認する以外に方法がない。未知の対象に触れて受け取る反応が、自分にとってのその対象の価値を認識させてくれる。そして、新たな自分を発見させてくれるのだ。
また、成長することは、未経験のことが出来るようになったり、わからなかったことを理解できるようになることである。人は成長するたびに、認識する世界を広げ、自分の価値観を変化させる。自らの成長を実感できるのは、自分の価値観が変化した瞬間である。
人の価値観というものは強固なもので、他人がいくら論理的な説得で変更を試みても容易には変えられない。しかし、たった一つの新しい事実を知っただけで、人の価値観は容易に変化する。
新しい事実を知ろうとする好奇心を人が持つことは、人が自らを理解し、成長したいという欲求を持っていることと繋がっている。
価値観は、その人の個性を表すものだ。個性は、いまに至る人生を通しての価値観の変化を経て形成される。どういう対象に好奇心を発揮して成長してきたのかという歴史が、その人の個性には表れている。そして、その個性が未来に向かう人の態度や姿勢を決めている。
このサイトで示してきた好奇心を高める方法で、興味を追求する最初のアクションを起こすことさえできれば、自らの個性を育む成長過程に喜びを感じ続ける人生を歩むことができる。
その人生を歩む中で、自分の価値観を具体的に表す指標を意識し続けることは、とても大切なことなのだ。そこには、あなたが築き上げてきた人生の価値そのものが表れている。
このページでは、好奇心があなたの価値観と深く結びついていることを説明した。好奇心に突き動かされる行動が、あなたの内面にある価値観と、あなたが認識する身の回りの世界を結びつける。この身の回りの世界には、あなたが生活の中で関与する様々人々がいる。
次のページでは、好奇心に駆り立てられる行動が生む、人間関係での問題について考える。