価値観が変わる体験を生む好奇心の力

エッセイ

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8.好奇心を高める活動    

ストーリを作り続ける


 前のページでは、好奇心を高める最初のイメージ作りについて説明した。あとは、このイメージを実現しようとする行動を開始すれば、あなた自身に元々備わっている好奇心のスイッチが入り、自然と興味・関心の対象は広がってゆく。
 
 前のページで、あなたはピックアップした関心事について、目一杯の想像力を働かせて、自分が将来的に到達する状態を、良い方向と悪い方向の両面でイメージした。その中の良い方向のイメージを実現すべきイメージとして取り上げることにする。
 
 行動を起こす前に、そのイメージを実現するまでの過程を考えることが必要だ。前のページで抜き出した、スリルを感じる指標を手掛かりにして、目標を最終段階まで複数段階設定し、それぞれの目標を達成するのに必要なことを具体的に想像してみよう。
 
 想像したことを、現在の状態から妄想の最終イメージまで、実行する順番に並べて、最終イメージを実現するまでのストーリーを作ってみる。このストーリー作りでは、先のリスクを心配する必要はない。思いついたことはすべてうまくいくと考えて妄想を膨らませることが大事だ。
 
 ストーリーが出来上がれば、最初に取る行動が決まる。この行動さえ始めてしまえば、あとは成り行きに身をまかせるだけだ。順調にストーリー通りに展開しているうちは、そのまま進むだけだ。
 
 そのうち、イメージ通りにいかない事態に遭遇する。この状況で、次の展開を考えるのに使う重要なアイテムが、前のページで抜き出したスリルを感じる指標だ。
 
 状況が想定より悪ければ、この指標の値が目標から悪い方向にずれているのを具体的に確認できる。場合によっては、最悪のイメージよりもひどい状況かもしれない。指標を確認したら、この指標の変動に影響する要因を調べ、ズレが生じた原因を明らかにし、目標を再設定したり、ズレを埋める具体的な方法を考えることになる。
 
 想定外の悪い状況に陥って感じるハラハラする興奮が、この一連の行動を自発的に行わせる。これこそ、好奇心の高まりの現れだ。好奇心が指標のズレに関連する情報を頭の中で勝手に検索し始め、詳しく調査すべき対象をピックアップしてくれる。
 
 前述のように、好奇心は感情の高まりと一体のものだ。願望のイメージを実現したいという欲求をともなう興奮により、好奇心のスイッチが一旦入れば、誰でも勝手に考え、行動するモードに入る。
 
 状況が想定以上に素晴らしい場合もある。指標の値が良い方向にズレる様子を見て、大喜びで興奮することになる。この場合も、興奮が自発的な行動を促す。なぜ良い方向にずれたか原因を調べ、さらに良い方法を考えたり、高い目標をイメージしたりすることになる。
 
 このように、意外性を具体的に示してくれる指標は、人を興奮させ、自発的な行動を促してくれる。その行動は、指標に影響する要因や指標を変化させる方法を探すことであったり、新たな目標をイメージすることだ。
 
 こうした行動が生み出す新たな着眼点から発想して、再度、最終イメージとそれを実現するまでのストーリーを想像する。そして、作り直したストーリーに沿って、行動を再開する。
 
 以降、このストーリー作りと再始動を繰り返すことで、追求すべきあなたの興味の対象はどんどん広がってゆく。やがて、元のテーマから派生した、新たな興味のテーマのイメージやスリルを感じる指標が次々に生まれてゆくことになる。
 
 この好奇心を高める活動のサイクルが始まったら、あとは楽しむだけだ。あなたは日々新しい着眼点が生まれ、その着眼点が駆り立てる妄想と自分の行動が生活を変えてゆく様子を、未来への期待感を感じながら、ただ楽しめば良いのである。
 
 こうして、あなたは身の回りの未知の領域に少しずつ認識を広げながら、好奇心を高め続けることになる。この活動の重要な核になっているのが、スリルを感じる指標だ。この指標がなぜ、これほどまでに好奇心に影響するのか、次のページで詳しく説明する。