価値観が変わる体験を生む好奇心の力

エッセイ

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6.好奇心を高める第一歩 

自分の関心事を知ろう


 前の2つのページでは、事例を通して、好奇心が持続・拡大する過程を示した。興味を持続・拡大させるには、具体的な指標で意外性を認識し続ける仕組みを持つことが大切だ。
 
 サイトの中でこれまで示してきた好奇心に影響する要因と、事例の中に見えていた意外性を生み出すプロセスをふまえて、誰でも使える好奇心を高める方法を考えた。その方法をこれから示してゆく。
 
 まず最初に行うことは、今現在、あなたが持っている関心事を再確認することだ。いきなり、今の自分と接点がないものに興味を広げることはできない。まずは、自分が関心を持っていることを起点として、そこからイメージを広げる必要がある。
 
 実は自分の関心事を認識するというのが、好奇心を高める上での最大の関門と言っていい。
 
 前述のように、大人になると飽きるという人の性質で、身の回りのものへの関心が薄れている。それでも、生活の様々な場面で触れるものの中には、一時的にでも強い興味・関心を示しているものは結構ある。
 
 ただし、日々触れる情報が多すぎて、後から関心を持った対象を思い出すのが難しい。あなたも、昼食に大好物を食べたにもかかわらず、翌日には何を食べたか思い出せないことがよくあるだろう。
 
 私も雑談で知人に最近興味を持ったことを尋ねてみたが、すぐには思い浮かばない人が多かった。そこで、自分の関心事を認識するため、次のように具体的に思い出す視点を作ってから、興味を抱く対象を思い浮かべてほしい。
 
 まず、普段、趣味で行っていることがあれば、それが一番良いイメージの起点となる。趣味はあなたがすでに持っている知的好奇心の対象だ。前のページの事例で示した株式投資やFXも、元は趣味で行っていたゲームから興味が発展したものだ。趣味はイメージを広げやすい。
 
 次に、仕事や家庭での自分の役割行動を具体的に思い浮かべてほしい。前述のエンジニアの事例は、実は配属先で漠然と仕事をやり始めてから、次第にその仕事が楽しい活動に変わっていったものだ。生活の中で継続的に行う活動は、最初は仕方なくやるが、やっているうちにのめり込むものが多い。
 
 そういう意味で、必要に迫られる形で継続的に行うことになった活動は、イメージの広げ方次第で、将来の楽しい活動に発展する可能性が高い重要テーマになる。
 
 また、生活の中の心配事も、不安を解消するための継続的な活動につながりやすい。自分が今、何に不安や心配を抱えているのか、よく思い出してほしい。
 
 その他、テレビやネットで普段見ている番組やニュースの中に、あなたを惹きつけるものがあったか思い出して欲しい。あなたがこれから試してみたいと思ったもの、もっと情報が欲しいと思ったものがきっとあったはずだ。
 
 このような視点で普段の生活を振り返れば、関心の度合いは様々ではあるが、結構自分がいろいろなことに関心を持っていることに気づくはずだ。関心事が複数見つかったら、その中から、自分の生活に将来に渡って関わり続ける可能性が高いものをピックアップしてみよう。
 
 自分の生活環境から離れた過ぎた関心事は、特別な目的を持ってその対象に接していない限り、自分の事としてイメージを広げ難い。せいぜい、世間話のネタにしかならない。国際的には重要な中東情勢の行く末より、1年後の自分の生活の変化の方がイメージし易いはずだ。
 
 すでに自分が能動的に情報収集や体験を繰り返しているもの、これから積極的にトライしたいと思う対象をピックアップしたい。
 
 イメージを広げる起点となる関心事をピックアップしたら、次のページに示すの方法で具体的にイメージを広げてゆく。